ビジネスの成長を目指す企業にとって、オンラインでの販路拡大は今や欠かせない取り組みです。中でも、自社商品やサービスを広く届ける手段としてECサイトの構築は非常に効果的であり、多くの企業が注目しています。しかし、ECサイトの開発にはシステム導入やデザイン設計などで多くのコストがかかるため、初期投資の負担が大きな壁となることも少なくありません。
そこで活用したいのが、国や自治体が提供している補助金制度です。なかでも「ものづくり補助金」は、条件を満たせばECサイトの構築費用にも使える可能性があり、多くの中小企業にとって魅力的な制度です。
本記事では、ものづくり補助金を活用してECサイトを構築する際のポイントや、申請時の注意点、さらには他にも使える補助金制度について詳しく解説していきます。補助金をうまく活用し、コストを抑えながら効果的な販路拡大を実現したいと考えている方は、ぜひ最後までご覧ください。
ものづくり補助金はECサイト構築に使えるのか?
ものづくり補助金は、ECサイト構築に活用できる可能性が高い制度です。その理由について説明しましょう。
ものづくり補助金の種類と補助上限額
ものづくり補助金には、以下のような種類があり、どちらもECサイト構築に対応可能です。
【製品・サービス高付加価値化枠】
革新的な新商品・サービス開発の取り組みに必要な設備・システム投資などを支援します。製品・サービス高付加価値化枠の補助上限額は従業員数によって異なり、最大で2,500万円、補助率は中小企業は1/2・小規模事業者と小規模企業は2/3です。
【グローバル枠】
海外事業を実施し、国内の生産性を高める取り組みに必要な設備・システム投資などを支援します。
グローバル枠の補助上限額は3,000万円、補助率は中小企業は1/2・小規模事業者と小規模企業は2/3です。
ものづくり補助金の対象になる経費の例
ものづくり補助金の対象になる経費の例には、次のようなものがあります。
項目 |
内容 |
機械装置・システム構築費 |
・専ら本事業のために使用させる機械・装置、工具・器具の購入や搬入にかかる経費 ・専ら本事業のために使用される専用ソフトウェア・情報システムの購入や構築にかかる経費 |
運搬費 |
運搬・宅配・郵送料 |
技術導入費 |
本事業の実施に必要な知的財産権などの導入にかかる経費 |
知的財産権等関連経費 |
必要となる特許などの知的財産権取得に必要な経費 |
外注費 |
新商品・サービス開発に必要な加工・デザインなどを外注する際の経費 |
専門家経費 |
本事業実施のために依頼した専門家に支払う経費 |
クラウドサービス利用料 |
専ら本事業のために利用するクラウドサービスにかかる経費 |
原材料費 |
試作品の開発に必要な原材料などの経費 |
海外旅費 |
海外事業の拡大・強化などを目的とした必要不可欠な海外渡航と宿泊にかかる経費 ※グローバル枠のうち海外市場開拓に関する事業のみ |
通訳・翻訳費 |
事業遂行に必要な通訳・翻訳にかかる経費 ※グローバル枠のうち海外市場開拓に関する事業のみ |
広告宣伝・販売促進費 |
本事業で開発する新商品・サービスの海外展開に必要な広告の作成などプロモーションにかかる経費 ※グローバル枠のうち海外市場開拓に関する事業のみ |
この対象経費の中でも、ECサイト構築費は「機械装置・システム構築費」「外注費」「専門家経費」「クラウドサービス利用料」として申請できる可能性が高いと言えるでしょう。
ECサイト構築でものづくり補助金を活用する方法とは?
ものづくり補助金を使ってECサイトを構築する時には、以下の2パターンの申請方法が想定できます。
自社に適したアプローチを考えてみてください。
ECサイト構築費用を単体で申請する
新商品や新サービスの開発と同時ではなく、既存の商品・サービスの販路拡大を目的としてECサイトを構築する場合、ECサイト構築費用を単体で申請することも可能です。ただし、ものづくり補助金は「新規性」や「付加価値の向上」が重要視されるため、単なる販路拡大のみの目的では審査で不利になることがあります。
また、ECサイトの規模によっては数百万円から数千万円規模の初期費用がかかる場合があります。ものづくり補助金を活用することで、その費用負担の軽減が期待できます。
新商品開発を目的とした機械設備の導入とECサイトの構築を合わせて申請する
これから新しい機械設備を導入し、新商品の開発を進めるとともに、完成した商品をECサイトで販売したい事業者は、機械設備の導入費用とECサイト構築費用を合わせて申請することが一般的です。
ものづくり補助金の補助上限額は最大3,000万円であり、設備投資とECサイト構築を一括して申請することで、より大きな補助を受けられる可能性があります。大規模な投資を伴う事業には特に活用が推奨されます。
ものづくり補助金をECサイトの構築に使う時に知っておくべきポイント
ものづくり補助金はECサイト構築の経費に使える可能性が高い補助金です。しかし、次のようなポイントがあることを知っておきましょう。
補助金の受け取りは事業終了後
ものづくり補助金は後払い制です。そのため、採択を受けてECサイト構築などの事業を実施した後に補助金が受け取れる流れになります。このような理由から、事業に必要な費用は一度事業者が支払わなければいけません。補助金を受け取るまでの資金が用意できる・融資を受けられるようにしておいてください。
事業終了後に状況報告をする必要がある
ものづくり補助金は補助金を受け取って終わりではなく、その後5年間状況報告を続けなければいけません。
この状況報告を怠る・虚偽の報告をすると、補助金の払い戻しを求められる可能性があるのです。
補助金の活用は長期的な目線で取り組むことであると考えてください。
補助金は採択が約束されているわけではない
補助金申請をしても、採択を得られなければ補助金は受け取れません。ものづくり補助金の採択率は製品・サービス高付加価値化枠で30〜60%程度であり、高い採択率とは言えないのです。補助金の採択を得る可能性を高めるためには、プロに申請についてのアドバイスを受けたり質が高いテンプレートを活用して必要書類を揃えたりすると良いでしょう。
ECサイトの構築に使えるその他の補助金とは?
ECサイトの構築にかかる経費が対象になる可能性が高い補助金は、ものづくり補助金以外にも存在します。自社の事業に適した制度を活用してください。
小規模事業者持続化補助金
小規模事業者持続化補助金は小規模な法人や個人事業主が実施する販路開拓・業務効率化などの取り組みを支援する制度です。ECサイトの構築のみでなく、展示会への出展や広告の展開、さらに業務効率化を目的とした機械導入に対して補助を受けられます。通常枠の場合の補助上限額は50万円です。
事業再構築補助金
事業再構築補助金は、既存の事業ではなく高付加価値の新事業に挑戦する中小企業・小規模事業者を支援する制度です。事業再構築補助金でも、ECサイトの構築費用が対象経費として認められるケースが多いです。補助上限額が通常枠で7,000万円であるため、採択を得ればサイト構築にかかる費用負担を大幅に少なくできるでしょう。
まとめ:ものづくり補助金を活用したECサイト構築のポイントについて
いかがでしたか?今回の内容としては、
・ものづくり補助金はECサイト構築に使える可能性が高い
・ものづくり補助金は申請すれば必ず採択を受けられるものではない
・ものづくり補助金の補助金を受け取れるタイミングは事業終了後
・ものづくり補助金以外にもECサイト構築経費を対象にしている補助金がある
以上の点が重要なポイントでした。ものづくり補助金はECサイト構築に活用できる補助金制度の一つです。これからECサイトを構築したいと考えている事業者の方は、補助金の活用を検討してみてください。
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