新しい店舗の立ち上げや新たな事業の展開を検討する中で、欠かせない設備のひとつが「POSレジ」です。売上管理や在庫管理を効率化し、顧客対応の質も向上させるPOSレジは、今や多くの事業者にとって導入必須のツールとなっています。最近では、従来の据え置き型だけでなく、タブレット型やモバイル型など多様なタイプが登場し、業態や店舗規模に応じた選択が可能です。
しかし、高機能なPOSレジは初期費用が高額になることも少なくありません。そんなときに活用したいのが「補助金制度」です。中でも、新事業や事業転換に取り組む事業者を支援する「新事業進出補助金」は、条件を満たせばPOSレジ導入にも活用できる可能性があります。
この記事では、新事業進出補助金の概要やPOSレジ導入時の注意点、その他の関連補助金についてわかりやすく解説します。コストを抑えて効率的にPOSレジを導入したいと考えている方は、ぜひ参考にしてください。
新事業補助金とは何か?
新事業補助金は、中小企業・小規模事業者の成長を促すための新事業進出・事業転換に関係する取り組みを支援する制度です。まずは、新事業進出補助金についての基本的な情報を見ていきましょう。
新事業進出補助金の補助上限額
新事業進出補助金の補助上限額は、従業員数によって異なります。
従業員数20人以下 2,500万円
従業員数21〜50人 4,000万円
従業員数51〜100人 5,500万円
従業員数101人以上 7,000万円
さらに、大幅賃上げの特例が適用された場合には、補助上限額が上乗せされます。
新事業進出補助金の補助率は1/2です。
新事業進出補助金の補助対象経費
次に、新事業進出補助金の補助対象経費の例を紹介します。
・機械装置
・システム構築費
・建物費
・運搬費
・技術導入費
・知的財産権等関連経費
・外注費
・専門家経費
・クラウドサービス利用料
・広告宣伝・販売促進費
多様な経費が新事業進出補助金の対象になると考えてください。
新事業補助金でPOSレジは導入可能?
結論から言えば、POSレジの導入は条件付きで新事業進出補助金の対象になります。なぜなら、新事業進出補助金が「新事業・事業転換のための補助金」であるからです。このような理由により、既存の事業に使うPOSレジの購入は、補助金の対象外になります。
新事業進出補助金でPOSレジを導入するケースの例
ここでは、新事業進出補助金が対象になる可能性が高いケースの例を紹介します。
・既存のカフェが和菓子屋を新事業としてスタートする際のPOSレジ導入
・BtoB企業が初めて一般消費者向けの小売店を新設した時のPOSレジ導入
・オンライン専門の事業者が実店舗を開店して新規開拓をする時のPOSレジ導入
どのケースでも、「新事業・事業転換」がキーポイントになると言えるでしょう。
既存の店舗で古くなったPOSレジを買い替える・新しくPOSレジを追加する取り組みは、新事業進出補助金の対象にはならないと考えてください。
新事業補助金でPOSレジを導入する時の注意点とは?
新事業進出補助金を活用してPOSレジを導入する際には、以下の注意点を知っておきましょう。思い違いがあると、計画を予定通りに進められません。
POSレジの用途が明確になっていること
新事業進出補助金は、新事業・事業転換に活用できる補助金です。そのため、POSレジの導入を新事業や事業転換のために実施することを、事業計画書で明らかにしなければいけません。
具体的には、以下のポイントを意識すると良いでしょう。
・従来の事業との違い
・新事業の方向性
・新市場の定義と収益見込み
事業計画書でPOSレジ導入が既存事業のものでない事実を、明確化させてください。
設備一覧に導入するPOSレジの情報を明記する
申請書類には、導入するPOSレジの品名・型番・単価・役割を詳しく記載します。この項目に漏れがあると、採用を得られなくなってしまうのです。
また、新事業進出補助金は新事業・事業転換を目的とした制度であるため、POSレジそのものの機能性の説明に力を入れる必要はありません。
補助金を活用したPOSレジは自由に廃棄・譲渡・貸付・交換できない
POSレジに限らず補助金を活用して取得した財産は、新事業進出補助金の交付規定に基づいて自由に譲渡・交換・廃棄などができません。違反する行為があると、事務局に対して当該処分制限財産に係る補助金額を限度額に納付しなければいけないことを知っておきましょう。
また、補助金で導入したPOSレジは専ら補助事業で使う必要があります。上記のようなルールを守らなければ、想定外の損失を被るリスクが存在するのです。
申請をしても必ず採用されるわけではない
新事業進出補助金は独立法人中小企業基盤整備機構の「システム要件定義書(案)」にて公募ごとの事業者数が約10,000者/公募回に対して、交付採択事業者は約1,500者/公募回であると記載されています。
この割合を計算すると、15%の採択率が想定されていることが分かるのです。採択率15%の補助金は、補助金制度の中でも比較的ハードルが高いものだと言えるでしょう。
POSレジの導入を目的として新事業進出補助金を申請する場合には、補助金申請のプロに相談をする・質が高いテンプレートを活用して提出書類を用意することをおすすめします。それでも、必ず採択を受けられるものではない事実を知っておいてください。
POSレジの導入に使えるその他の補助金とは?
POSレジの導入が対象になる補助金は、新事業進出補助金以外に次のようなものがあります。
自社に適した制度は何か考えてみてください。
中小企業省力化投資補助金
中小企業省力化投資補助金では、中小企業の賃上げ・人手不足の問題を解消するために行う省力化や自動化に関する設備投資を支援します。そのため、小売店などでPOSレジの導入・セルフレジの導入を補助対象設備として申請できるでしょう。
中小企業省力化補助金の補助率は1,500万円まで中小企業で1/2、小規模企業者・小規模事業者は2/3です。補助上限額は従業員数によって異なりますが、一般型では最大で1億円もの補助を受けられるのです。
より申請手続きのハードルが低いカタログ注文型でも、最大で1,500万円を補助してもらえます。
ものづくり補助金
ものづくり補助金は、中小企業や小規模事業者が革新的なサービスや製品の開発・生産プロセスの改善・生産性の向上に関係する取り組みを支援する制度です。
POSレジの導入は、生産プロセスの改善や生産性の向上に影響を与える設備投資として認められる可能性があるでしょう。ものづくり補助金の補助率は中小企業で1/2、小規模企業や小規模事業者は2/3、補助上限額は最大で2,500万円です。
まとめ:新業進出補助金でPOSレジは導入可能?POSレジ導入で活用できる補助金
を紹介!
いかがでしたか?今回の内容としては、
・新事業進出補助金はPOSレジの導入に活用できる可能性がある
・新事業進出補助金の対象になる設備は新事業・事業転換に係る取り組み
・POSレジを既存の事業で活用する場合は補助対象にならない
・POSレジの導入費用を補助してもらえる補助金制度は新事業進出補助金以外にもある
以上の点が重要なポイントでした。新しい事業にチャレンジするために必要なPOSレジは、新事業進出補助金の対象経費になる可能性が高いです。上手に補助金を活用して、新事業スタート時の金銭的な負担を少なくできると良いでしょう。
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