新たな挑戦に向けて補助金を活用したい中小企業や個人事業主にとって、「どの制度を選ぶべきか」は非常に重要な課題です。そして、「事業再構築補助金」の後継制度として注目されているのが、「新事業進出補助金」です。
どちらも中小企業の成長や変革を支援する目的で設けられた制度ですが、対象となる事業内容や補助金額、要件などには細かな違いがあります。
本記事では、新事業進出補助金と事業再構築補助金の違いを明確に整理し、それぞれの特徴や活用メリットについて詳しく解説します。補助金の活用を検討している方は、ぜひご一読ください。制度の違いを正しく理解することで、より効果的な事業展開が可能になります。
新事業進出補助金と事業再構築補助金の目的・仕組みの違いとは?
新事業進出補助金と事業再構築補助金は、どちらも中小企業を支援する制度であるものの、その目的は異なります。まずは、その違いについて説明しましょう。
事業再構築補助金は中小企業の回復を支援した
事業再構築補助金は新型コロナウイルス感染症の影響を受けて経営環境が急激に変化してしまった中小企業などに向け、業務転換を支援し事業を再構築することを後押ししました。
コロナ禍には非常に多くの業種の売り上げが減少し、多大な損失を被ったためです。事業再構築補助金は第13回の公募を最後に終了しています。
新事業進出補助金は中小企業の成長を支援する
新事業進出補助金は中小企業などが実施する新事業・事業展開への挑戦を支援する制度です。新事業・高付加価値事業への進出をサポートすることで、中小企業などの事業規模の拡大・高付加価値化を通じた生産性の向上、さらに賃上げを狙っています。
このように、新事業進出補助金と事業再構築補助金の目的は、異なるものである事実を知っておきましょう。
新事業進出補助金と事業再構築補助金の補助上限額や補助率の違いとは?
新事業進出補助金と事業再構築補助金は、補助上限額や補助率が異なります。事業再構築補助金にはさまざまな枠があるため、第13回公募の通常枠を例に表にしました。
項目 |
第1回新事業進出補助金 |
第13回事業再構築補助金(通常枠) |
補助下限額 |
750万円 |
100万円 |
補助上限額 |
従業員数20人以下 2,500万円 従業員数21〜50人 4,000万円 従業員数51〜100人 5,500万円 従業員数101人以上 7,000万円 |
従業員数20人以下 1,500万円 従業員数21〜50人 3,000万円 従業員数51〜100人 4,000万円 従業員数101人以上 6,000万円 |
補助率 |
1/2 |
中小企業など1/2 中堅企業など1/3 |
補助上限額が従業員数によって異なる点は同じであり、事業再構築補助金の通常枠と比較して新事業進出補助金の方が1,000万円程度ずつ補助上限額が上がっています。
新事業進出補助金と事業再構築補助金の対象経費・要件の違いとは?
この章では、新事業進出補助金と事業再構築補助金の対象経費の違いを比較します。
新事業進出補助金と事業再構築補助金の対象経費
新事業進出補助金と事業再構築補助金の対象経費について各公募要領を確認すると、以下のようになります。
新事業進出補助金 |
事業再生構築補助金 |
・機械装置・システム構築費 ・建物費 ・運搬費 ・技術導入費 ・専門家経費 ・クラウドサービス利用費 ・外注費 ・知的財産権等関連経費 ・広告宣伝・販売促進費 |
・建物費 ・機械装置・システム構築費 ・技術導入費 ・専門家経費 ・運搬費 ・クラウドサービス利用費 ・外注費 ・知的財産権等関連経費 ・広告宣伝・販売促進費 ・研修費 ・廃業費 |
両者に大きな違いはありませんが、新事業進出補助金では「専ら補助事業のために使用される建物に付随する構築物の建設に要する経費」が追加されました。
新事業進出補助金と事業再構築補助金の要件の違い
新事業進出補助金と事業再構築補助金の要件に、大きな違いはありません。ただし、事業再構築補助金でも求められていた新市場性と高付加価値性が、新事業進出補助金でより明確化されたと考えて良いでしょう。
新事業進出補助金の公募要領では、以下の要件について細かな定義が明記されています。
・新事業進出要件:製品・市場の新規制要件、新事業売上高要件
・付加価値要件:事業計画期間における年平均成長率を明記
新事業進出補助金の申請を考えている方は、事前に公募要領を確認しておきましょう。
新事業進出補助金を申請する時のメリットとは?
事業再構築補助金は2021年から開始し、2025年3月に最後の公募を締め切っています。そのため、これから補助金申請を考えている方は、2025年4月から公募をスタートした新事業進出補助金を活用することになるでしょう。
この章では、新事業進出補助金を活用するメリットをまとめました。
新事業への投資リスクを軽減できる
新事業をスタートする際には、多くの費用が必要です。新事業進出補助金を活用すれば、未確定要素がある新事業のコストを全て自己資金で賄わずに済み、経営リスクを軽減できると考えてください。
新事業進出補助金は、企業の新たな挑戦を支援してくれるのです。
従業員の賃上げも支援してもらえる
新事業進出補助金は、補助金の申請と補助事業の実施とともに従業員の賃上げを実行する場合、補助上限額が引き上げられます。
補助金の活用により賃上げ負担を最小限に抑えながら、従業員のモチベーションを高められると言えるでしょう。
事業再構築補助金の代わりに使えるその他の補助金制度とは?
事業再構築補助金の公募は終了しています。補助対象や要件が似ている新事業進出補助金が後継制度であると言えますが、中小企業などが活用できる補助金制度は他にも存在することを知っておきましょう。
ものづくり補助金
中小企業または小規模事業者が革新的なサービスや製品の開発・生産プロセスの改善・生産性の向上に関係する取り組みを支援する制度が「ものづくり・商業・サービス生産性向上促進補助金」であり、略して「ものづくり補助金」と呼ばれています。
ものづくり補助金は令和7年7月に20次公募を締め切りました。現段階で21次の情報は公開されていないものの、例年通り2026年にも継続される可能性があります。ものづくり補助金の補助上限額は従業員が51名以上の場合で2,500万円です。
中小企業省力化投資補助金
中小企業省力化投資補助金は、カタログ注文型・一般型の2種が用意され、中小企業などの売上拡大や生産性の向上・人手不足の問題の解消を目的とした省力化投資を支援します。
特にカタログ注文型は随時公募受け付けており、他の補助金と比較して申請ハードルが低いです。
カタログ注文型の補助上限額は1,500万円、一般型の補助上限額は従業員101名以上で8,000万円です。
まとめ:新事業進出補助金と事業再構築補助金の違いは?~対象経費や仕組みの違
いなど~
いかがでしたか?今回の内容としては、
・新事業進出補助金と事業再構築補助金の対象経費・要件・補助内容は似ている
・新事業進出補助金は事業再構築補助金の後継制度として生まれた
・これから申請を考えている方は新事業進出補助金を選ぶことになる
・新事業進出補助金以外にも中小企業が使いやすい補助金が存在する
以上の点が重要なポイントでした。これから新事業にチャレンジしたいと考えている事業者の方は、新事業進出補助金の活用を検討してみましょう。
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