新たな事業を立ち上げる時や、新しい取り組みにチャレンジする際には、多くの資金が必要です。しかし、金融機関からの融資に頼ると、元本に加えて利息の返済が発生し、後々の経営に重い負担をもたらすことがあります。
「資金は必要だけれど、借金はできるだけ避けたい」そう考える事業者にとって有力な選択肢となるのが、返済不要の資金調達方法です。
本記事では、補助金・助成金、クラウドファンディング、ファクタリング、エンジェル投資、ベンチャーキャピタル、資産売却など、返済不要で資金を得られる多様な手段を紹介し、それぞれのメリット・注意点についてもわかりやすく解説します。「返済のいらない資金」で事業の未来を切り拓きたい方は、ぜひ最後までご覧ください。
「返済不要」の資金調達方法
「返済不要」の資金は、文字通り受け取った資金を返済する必要がありません。この章では、返済不要の代表的な資金の例とその注意点について説明します。
補助金・助成金
補助金・助成金は、所定の条件を満たした場合に国・地方自治体・特定の団体などの審査を通過した方が受け取れる資金です。
資金の使い道は大まかに定められており、以下のような目的のための取り組みが対象になる制度が多いです。
・業務効率化・省力化のための設備投資
・特定の産業の活性化につながる取り組み
・人手不足を解消するための取り組み
・賃上げのための取り組み
・組織のDX化を促進する取り組み
・環境に優しい設備の導入
補助金・助成金は用途を明確にする目的で、受給後の進捗報告が求められることがあります。進捗報告を怠る・申請とは異なる事業を実施すると、本来返還義務が生じてしまうでしょう。
また、補助金・助成金の種類によっては採択倍率が非常に高く、限られた事業者しか資金を受け取れません。
クラウドファンディング
クラウドファンディングとは、インターネットを介して個人または法人が今後の取り組みに対する想い・有益性を配信し、共感を得た不特定多数の人々から少額ずつの資金を調達することを指します。
クラウドファンディングの魅力は、手軽さ・拡散性が高い・テストマーケティングになるというポイントです。
クラウドファンディングには、以下のような種類があります。
・購入型:起案者はリターンとして支援者にモノやサービスを提供する
・寄付型:起案者は支援者にプロジェクトの活動報告やお礼のメッセージを送る
・株式投資型:起案者は非公開株を支援者に提供する
・融資型:起案者は支援者に融資してもらった資金と利息を支払う
融資型以外のクラウドファンディングなら、資金の返済や利息を支払う義務は発生しません。しかし、大半のクラウドファンディングは、何らかのリターンを支援者に提供する必要があることを知っておきましょう。
ファクタリング
ファクタリングとは、事業者が売掛金をファクタリング会社に売却して現金化するサービスを指します。売掛金はいずれ現金になるものですが、ファクタリング会社を活用することで回収期限を待たずに現金化できます。
サービスによっては、最短数十分で審査完了・1時間以内に振り込みまで済ませられるのです。ファクタリングには、以下の2種類があります。
・2者間ファクタリング:事業者とファクタリング会社の2者で契約
・3者間ファクタリング:事業者・売掛先・ファクタリング会社の3者で契約
ファクタリングは即現金を手に入れる手段として有効であり、信用情報に影響を与えません。ファクタリングは融資ではないためです。ただし、一定の手数料がかかること・売掛金の金額ないでしか資金調達ができない点がデメリットだと言えるでしょう。
エンジェル投資家からの出資
エンジェル投資家とは、実績が少ない企業に出資をしてくれる個人投資家を指します。これまでの実績よりも新規性や将来性が出資の判断材料になるため、金融機関から融資を受けることが難しい事業者でも資金を得られる可能性が上がるでしょう。
エンジェル投資家から受けた資金には返済義務がないだけでなく、経営に関するアドバイスや取引先を紹介してもらえることもあります。
しかし、エンジェル投資家から魅力的だと感じてもらうビジネスモデルでなければ、投資を得られません。また、エンジェル投資家が経営に参加する条件で出資を受ける場合には、経営陣の意見が尊重されない恐れがあるでしょう。
ベンチャーキャピタルからの出資
ベンチャーキャピタル(VC)とは、短期間で急成長を狙う企業であるスタートアップに出資する投資会社や組織を指します。
ベンチャーキャピタルは投資家から集めた資金を財源に、各企業に分配して投資を実行します。
そして、投資した会社が株式上場を果たした時には、株式を売却しキャピタルゲイン(債券・不動産・株式などの資産価値が上昇した時に得られる利益)を手に入れるのです。
ベンチャーキャピタルには、以下のような種類があります。
・政府系ベンチャーキャピタル
・地域系ベンチャーキャピタル
・海外系ベンチャーキャピタル
・大学系ベンチャーキャピタル
・独立系ベンチャーキャピタル
・金融機関が母体
・一般企業が母体
ベンチャーキャピタルから得た資金は融資ではないことから、返済義務は生じません。
ただし、経営を干渉されるリスクが存在する・想定通りの利益が出ない時には株式買取を提示される可能性があります。
資産の売却
事業者が所持している資産を売却して、一時的に資産を得ることもできます。
例えば、以下のような資産は企業の運転資金になるでしょう。
・株式
・有価証券
・商品
・機械設備
・備品
・土地
・建物
・車両
・営業権
・借地権
資産の売却をすることで、現金が手に入る・維持コストなくなる・固定資産の売却で節税できるメリットが得られるでしょう。しかし、多くのケースでは資産の現金化までに長い時間がかかります。また、希望通りの金額で資産を手放せるかは分からないのです。
返済不要の資金調達方法を使う時の注意点
ここまで紹介したように、返済不要の資金を入手する方法には、さまざまなものがあります。しかし、どの方法にもメリットのみでなくデメリットも存在することを知っておかなければいけません。
デメリットを十分把握せずに資金調達方法を選択すると、思わぬ問題を抱える結果に陥る可能性があるでしょう。返済不要の資金調達を考えている方は、メリットとデメリットの両方を比較してください。
企業の状況別:おすすめの資金調達法
最後に企業の状況別に、おすすめの資金調達方法を紹介します。
・補助金・助成金:要件をクリアする事業を行う場合・起業初期
・クラウドファンディング:少額の資金を求める・話題性が欲しい時
・ファクタリング:迅速に売掛金までの資金が欲しい場合
・エンジェル投資家:事業の新規性将来性に自信がある
・ベンチャーキャピタル:スタートアップ企業
・資産の売却:資金を急がない・不要な資産がある
また、実績があり安定した収益が見込める事業者は、返済義務がある融資も資金調達の検討先に含めるべきです。
まとめ:"返済不要"の資金調達方法を一覧でご紹介!(補助金・助成金・クラウド
ファンディング
等)
いかがでしたか?今回の内容としては、
・「返済不要」の資金調達方法を活用すれば、受け取った資金を返さなくて良い
・返済不要の資金調達方法には、メリットだけでなくデメリットもある
・返済不要の資金調達方法を活用する場合には、そのリスクも十分に把握しておく必要がある
以上の点が重要なポイントでした。返済不要の資金を活用すれば、今後の返済に頭を抱えずに済みます。しかし、返済不要の資金調達方法にはメリット以外にデメリットも存在することを知っておきましょう。
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