ものづくり補助金を活用して設備導入や新製品開発などに取り組んだ企業には、補助金の受給後も継続的な「事業化状況報告」が求められます。これは、補助事業の成果や収益状況を毎年報告する重要な義務であり、怠ると補助金の返還を求められる可能性もあるため、十分な注意が必要です。
本記事では、ものづくり補助金における事業化状況報告のスケジュールや報告書の具体的な書き方、提出方法まで詳しく解説します。補助金の申請を検討中の方、あるいはすでに採択を受けた企業のご担当者様は、ぜひ最後までご覧いただき、適切な対応にお役立てください。
ものづくり補助金の交付スケジュールとは?
ものづくり補助金の交付スケジュールを把握しておけば、どのタイミングで事業化状況報告をするべきかが分かります。
ものづくり補助金申請後の流れ
ものづくり補助金は以下のような流れで申請・交付・事業化状況報告のステップを踏んでいきます。
このスケジュールは2025年に行われている第20次公募のものです。
- 事前準備
- 公募開始:2025年4月25日
- 申請開始:2025年7月1日
- 申請締切:2025年7月25日
- 審査
- 補助金交付候補者の採択:2025年10月下旬頃
- 交付申請・交付決定
- 補助事業実施
- 補助事業実施期限
- 実施報告書・確定検査
- 補助金額の確定
- 補助金の請求・受け取り
- 事業化状況報告:毎年4月
補助事業実施期限までに交付申請と実績報告をしなければ、補助金の採択が取り消されます。また、交付申請時点で事業に遅れがある場合には、遅延の理由・事業実施可能性などを報告しなければいけません。場合によっては、採択が取り消される可能性があるでしょう。
事業化状況報告は合計6回実施する
事業化状況報告は、補助金額が確定した次の4月に1回目の報告を実施します。3月以降に補助金額が確定した場合は、翌年の4月が1回目の報告時期です。
その後、毎年4月に事業化状況報告を繰り返し、合計で6回の報告が義務付けられているのです。具体的な事業化状況報告書の提出期間は、毎年4月1日〜5月31日の2ヶ月間になります。
事業化報告で報告するべき内容
ものづくり補助金の交付を受ける事業者は、補助事業終了後に以下の内容を報告する必要があります。
・事業化状況・知的財産権等報告書
・事業化状況等の実態把握調査票
・返還計算シート
・直近の決算書(知的財産権の報告は、交付決定から報告対象年度終了時点までの決算書)
・報告年3月分の賃金台帳
事業化状況報告の提出方法
ものづくり補助金の事業化状況報告は、「事業化状況・知的財産権等報告システム」で行います。このシステムを使うためには、GビズIDの登録が必要です。操作方法は先ほどのリンクで提示されているため、確認しておきましょう。
事業化状況報告・知的財産権の報告書の内容/書き方とは?
この章では、事業化状況報告・知的財産権の報告書の内容について具体的に説明します。
事業状況の報告
ものづくり補助金の事業化報告で提示するべき情報は、以下の通りです。
・補助事業の事業化の有無
・知的財産権などの譲渡または実施権の設定の有無
・補助事業に要した経費
・補助金確定額
・補助事業に係る本年度売上額
・補助事業に係る本年度収益額
・控除額
・本年度までの補助事業に係る支出額
・基準納付額
・前年度までの補助事業に係る全国中央会への累積納付額
・本年度納付額
詳細は、「交付規程に基づき全国中央会が定める様式」を確認してください。
知的財産権などの報告
知的財産権などの報告では、以下の情報を報告します。
・知的財産権など取得件数(出願中のものを含む)
・知的財産権の内容
知的財産権の報告では、補助事業実施年度に取得・出願した知的財産のみでなく、報告対象年度終了時点の全ての案件を明らかにしなければいけません。知的財産権を譲渡または実施権の設定を行った場合は、備考欄で説明する必要があります。
給与支給総額についての報告
給与支給総額の報告では、公募申請時の給与支給総額・事業計画終了時の給与支給総額などの数値を活用して、年平均成長率の増加を確認します。この計算式により算出された比率が1.5%未満の場合は補助金の一部を返還する必要があります。特別な事情がある時には、備考欄で状況を説明してください。
事業場内最低賃金についての報告
事業場内最低賃金の報告では、以下の情報をまとめます。
・毎3月末時点での地域別最低賃金
・事業場最低賃金計画
・報告時における事業場内最低賃金
報告時の事業場内最低賃金が事業場内最低賃金計画以上であれば、補助金の返還義務は生じません。
ものづくり補助金の収益納付とは?
補助事業を実施し事業化状況報告をした結果、収益を得たことが明らかになった場合は収益額の一部または全部を国に返還しなければいけません。つまり、自己負担額を超える利益が発生した場合には、補助交付額を上限として収益納付をする必要があるのです。
収益納付の計算方法
収益納付の有無は、自己負担額が利益を超えているかどうかを計算することで分かります。収益納付の具体例は、以下を参考にしてください。
A社は、1,000万円ものづくり補助金と1,000万円の自己負担額で、2,000万円の商品を開発しました。この開発により発生した追加売上は2,000万円です。A社は1,000万円の自己負担額に対して2,000万円の利益を得ているため、収益納付が発生します。また、収益納付の対象になる利益は、補助事業により直接生じたもののみであり、間接的な利益は対象になりません。
2025年度のものづくり補助金では収益納付が求められなくなった
収益納付は、2025年度(第20次)のものづくり補助金から求められなくなりました。中小企業の成長を加速させたいという観点から、収益納付がなくなったのです。この改訂により、企業は収益を上げる取り組みにより一層注力できるようになったと言えるでしょう。
事業化状況報告に関する不明点を解決する方法とは?
事業化状況報告に関する不明点は、以下の方法で解決すると良いでしょう。
直接事務局に相談する
ものづくり補助金事務局はサポートセンターを設置し、補助金申請・手続き・事業化状況報告に関する質問に答えています。
【ものづくり補助金事務局サポートセンター】
電話番号:050-3821-7013(受付時間10:00〜17:00/土日祝日年末年始を除く)
メールアドレス:kakunin@monohojo.info
認定支援機関などのプロに相談する
ものづくり補助金の事業化状況報告について、認定支援機関を含む専門家に相談することもできます。補助金に関する専門的な知識と実績を持つプロの意見を参考にすれば、スムーズに報告作業を進められるでしょう。
まとめ:ものづくり補助金の事業化状況報告とは?手続き・書き方のポイント
いかがでしたか?今回の内容としては、
・ものづくり補助金の補助事業終了後には6回の事業化状況報告を行う
・ものづくり補助金の事業化状況報告では知的財産権や給与総支給額の報告も必要
・2025年度のものづくり補助金からは収益納付が求められなくなった
以上の点が重要なポイントでした。ものづくり補助金の交付を受けた後、事業者は6回の事業化状況報告をしなければいけません。事業化状況報告を毎年の予定としてスケジュールを組みましょう。
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