新事業進出補助金は、既存の事業とは異なる新市場・高付加価値事業への進出にかかる設備投資などを支援する新制度です。補助金の活用により、中小企業・小規模事業者は新しい取り組みにチャレンジしやすくなるでしょう。
ただし、新事業進出補助金は車両や車に関する多くの経費が補助対象に含まれていません。
自動車整備業は、新事業進出補助金を活用できるのでしょうか?この記事では、自動車整備業の事業者の方が新事業進出補助金を活用する時のポイントを紹介します。
新事業進出補助金の基本的な情報とは?
新事業進出補助金は、中小企業や小規模事業者の成長を促す目的で、事業転換・新事業進出にかかる費用を補助する制度です。具体的には、最大で9,000万円もの補助金を受けられることから、現在多くの事業者が注目しています。
新事業進出補助金の補助上限額
新事業進出補助金は1/2の補助率が設定されており、補助上限額は従業員数によって異なります。
補助上限額については、以下を参考にしてください。
・従業員数20人以下:2,500万円まで
・従業員数21〜51人:4,000万円まで
・従業員数15〜100人:5,500万円まで
・従業員数101人以上:7,000万円まで
さらに、賃上げの特例が適用されると、最大で9,000万円の補助が受けられるようになります。
新事業進出補助金の補助対象区分とは?
新事業進出補助金の補助対象区分は、以下を参考にしてください。
補助対象区分 |
内容 |
機械装置・システム構築費 |
補助事業のために使用される機械装置・工具・器具・専用ソフトウェア・情報システムなどの購入や構築にかかる費用 |
建築費 |
補助事業のために使用する設備の建築や改修にかかる費用 |
運搬費 |
運搬・宅配・郵送料などにかかる経費 |
技術導入費 |
補助事業遂行のために必要な知的財産権などの導入にかかる経費 |
知的財産権等関連経費 |
補助事業の開発成果の事業化のために、特許権などの知的財産権の取得に必要な経費 |
外注費 |
補助事業の遂行に必要な検査・加工などを外注するための経費 ※補助金全体の10%まで |
専門家経費 |
補助事業遂行のために必要な専門家に支払われる経費 ※上限100万円まで |
クラウドサービス利用費 |
補助事業のために利用するクラウドサービスにかかる経費 |
広告宣伝・販売促進費 |
補助事業の宣伝に必要な広告・展示会出演・ブランディングなどにかかる経費 |
新事業進出補助金では、必ず機械装置・システム構築費または建物費のどちらかを選択しなければいけません。その他の補助対象区分のみで補助金の申請はできないことを知っておいてください。
新事業進出補助金では車両関連費は対象にならない?
新事業進出補助金の公募要領では、車両関連費について以下のように提示しています。事前に確認しておきましょう。
機械装置・システム構築費区分内での説明
公募要領の対象区分の中でも、機械装置・システム構築費区分では、『船舶・航空機・車両及び運搬具に係る経費は対象になりません』と記載しています。
補助対象外となる経費での説明
新事業進出補助金の公募要領の中にある「補助対象外となる経費」では、『自動車等車両(税法上の車両及び運搬具に使用し得るもの等)の購入、船舶、航空機等の購入費・修理費・車検費用・内装に係る費用』を、補助対象外であると提示しています。
計上した経費の大半が補助対象外であった場合には、不採択・採択取消・交付決定取消になる可能性があるでしょう。
自動車整備業で新事業進出補助金が活用できる可能性がある車両関連費とは?
大半の車両関連費が新事業進出補助金の対象外になる事実をお伝えしましたが、以下のようなケースであれば、補助対象として認められる可能性が上がります。「車に関係がある経費全てが補助対象外になる」と考えないようにしましょう。
補助事業で使用する装置や機械の運搬費
補助事業に必要な装置や機械を運搬する費用は、車両に関する経費でも「機械装置・システム構築費」として計上できる可能性があります。
車両にITシステムや専門機器を導入する経費
車両自体の経費は補助対象になりませんが、車両に搭載するシステムや専用機器は新事業進出補助金で補助を受けられる可能性が考えられます。例えば、訪問介護車両に設置する通信システムや、移動販売車に設置するPOSレジシステムなどは、機械設置・システム構築費に含まれることがあるでしょう。
車両に関する経費の中で新事業進出補助金の対象にならない経費とは?
この章では、車両に関わる経費の中で、新事業進出補助金の対象に含まれないものを具体的に説明します。
車両の購入費・レンタル費
車両は補助事業に欠かせない要素であっても、購入・レンタル費が新事業進出補助金の対象になりません。社用車・移動販売車・工事用車両なども同様です。
車両の改装費
補助事業のために車両を改装する場合に必要な経費は、新事業進出補助金の対象外です。補助事業で活用する移動販売車の什器・飾り付けなども、補助を受けられません。
車両のメンテナンス費・車検費
補助事業のためのみに使用している車両でも、そのメンテナンス費用や修理費を新事業進出補助金の対象経費に含むことはできません。修理費のみでなく、車検費用などの維持費も補助の対象外です。
自動車製造業における新事業進出補助金の活用案
自動車製造業でも以下のような使い道であれば、新事業進出補助金を活用できる可能性があります。
他の事業に進出する
自動車製造業から製造業など、他の事業に進出するケースでは、新事業のために必要な設備投資などが補助金の対象として認められるでしょう。これまで培った技術やノウハウを活用し、自社の強みを活用できる事業は何か考えてみてください。
新システム・ツール導入による業務効率化
自動車整備業に必要な業務工程の中に、業務効率化が期待できる新システムやツールを導入する場合は、新事業進出補助金の補助対象になる可能性があります。
例えば、デジタル技術の活用によって車検を効率化し、これまでにない短い時間で車検が完了するサービスを提供する取り組みは、新事業進出補助金が促進する高付加価値事業への進出に該当すると言えます。
補助対象事業に含まれるかどうかの判断は難しい
事業者が行う取り組みにかかる経費が、補助対象になるかどうかを判別することは簡単ではありません。新事業進出補助金の活用を検討する前に、計画の中で補助対象外になる経費がないか事前に確認するべきです。
この際、補助金に詳しい専門家に相談する・事務局に直接問い合わせるなどの方法があります。
まとめ:新事業進出補助金を自動車整備業で活用するポイント
いかがでしたか?今回の内容としては、
・新事業進出補助金では大半の車両費が補助対象外になる
・車両に設置するシステムや機械は補助金の対象になる可能性がある
・機械装置・システム構築に必要な運搬費は補助金の対象になる可能性がある
・補助対象外の経費を多く含む申請は不採択・採択取消・交付決定取消になる可能性がある
以上の点が重要なポイントでした。新事業進出補助金は車両に関する費用の大半を補助対象外にしています。しかし、機械装置を車両に設置する場合などは補助を受けられる可能性があることを知っておきましょう。
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