新事業進出補助金は対象となる経費の種類が多いことから、さまざまな業種で活用できます。新しい事業に進出したい・既存の事業を高付加価値化したいと考えている事業者は、新事業進出補助金について理解を深めるべきでしょう。
補助金を使うことで、新しい取り組みへの費用負担を大幅に抑えられます。今回の記事では、特に美容室で新事業進出補助金を活用するポイントについて紹介します。美容室を経営している事業者は、ぜひ参考にしてください。
美容業界は多様化が進みサービスが拡大している
美容業界は年々進化を続け、顧客のニーズの多様化に対応しています。その結果、メンズ美容市場の拡大・健康と美容を組み合わせたヘルスケア美容室の増加・月額制で気軽に利用できるサブスクリプション型美容室など、多様な美容サービスが増えています。
美容業界には、常に最新の流行を察知して新たなサービスを展開するビジネスチャンスが存在すると考えてください。このような理由から、新事業進出・事業転換に活用できる新事業進出補助金は、美容業界に適した補助金制度だと言えるでしょう。
新事業進出補助金の補助上限額と補助率とは?
新事業補助金は、中小企業などが企業規模の拡大・付加価値を高めることで、生産性を向上する取り組みを応援します。
この補助金は2025年度にスタートし、多くの事業者から注目を集めています。
新事業進出補助金の補助上限額・補助率
新事業進出補助金の補助上限額は、従業員数ごとに異なります。
従業員数をもとに、自社が受け取れる補助金の上限額を確認しておきましょう。
・従業員数20人以下:2,500万円まで
・従業員数21〜51人:4,000万円まで
・従業員数15〜100人:5,500万円まで
・従業員数101人以上:7,000万円まで
補助率は1/2であり、大幅賃上げの特例が適用された場合には、補助上限額が500万円〜増額されます。
新事業進出補助金の補助対象区分
新事業進出補助金には、幅広い補助対象区分が用意されています。
具体的な補助対象区分は、以下を参考にしてください。
・機械装置・システム構築費
・建物費
・運搬費
・技術導入費
・知的財産等関連経費
・外注費
・専門家経費
・クラウドサービス利用費
・広告宣伝・販売促進費
新事業進出補助金は、補助対象経費の中から、必ず機械装置・システム構築費または建物費のどちらかを選択しなければいけません。
その上で、対象となる経費が他にある場合には、追加で計上しましょう。
個人事業主も新事業進出補助金の対象になる
新事業進出補助金は、中小企業に限らず個人事業主も補助を受けることができます。ただし、公募要領にある補助対象者の要件をクリアする必要があります。
具体的に、新規事業進出補助金の補助対象になる事業主は以下のような方です。
・中小企業者
・中小企業者等に含まれる中小企業者以外の法人
・特定事業者の一部
・対象リース会社
詳細については、新規事業進出補助金の公募要領を確認してください。
新事業進出補助金の基本要件とは?
新事業進出補助金には、以下のような要件が定められています。採択を得るためには、要件をクリアできる事業計画を立てなければいけません。
新事業進出要件
新事業進出指針に定められている定義に該当する事業を計画します。具体的には、製品などの新規性要件・市場の新規性要件・新事業売上高要件が用意されています。
付加価値額要件
補助事業終了後3〜5年後の事業計画期間に、付加価値額(または従業員1人あたりの付加価値額)の年平均成長率が4.0%以上増加する見込みがある事業計画を策定します。
賃上げ要件
補助事業終了後3〜5年後の事業計画期間に、以下のいずれかの水準以上の賃上げを実施する必要があります。
1)一人当たり給与支給総額の年平均成長率を、事業実施都道府県における最低賃金の直近5年間の年平均成長率以上増加させる
2)給与支給総額の年平均成長率を2.5%以上増加させる
事業場内最賃水準要件
補助事業終了後3〜5年の事業計画期間に、毎年事業内最低賃金が補助事業実施場所都道府県における地域別最低賃金より30円以上高い水準になる計画を立てる必要があります。
ワークライフバランス要件
新事業進出補助金の基本要件では次世代育成支援対策推進法に基づき、一般事業主行動計画を公表しなければいけないと定めています。
金融機関要件
補助事業を実施するために金融機関から資金提供を受ける場合は、資金提供を受ける金融機関から事業計画の確認を受ける必要があります。
新事業進出補助金を美容室に活用した事例とは?
新事業進出補助金を美容室に活用した事例には、次のようなものがあります。
シェアサロンサービスを開始
フリーランスの美容師の増加に対応する目的で、設備を整えたシェアサロン事業を展開する場合、新事業進出補助金の対象になる可能性があります。美容室経営のノウハウとフリーランス美容師の技術力の組み合わせにより、これまで以上の高品質なサービスを提供できるでしょう。
訪問美容サービスへの転換
外出の機会を減らしたいと考えている利用者や移動が難しい高齢者向けに、既存の美容室を訪問美容サービスに転換する取り組みです。既存店舗の縮小に該当しますが、リソースを集中して付加価値をつける選択であると言えるでしょう。
美容専門学校の開校・スタイリスト育成事業の開始
美容専門学校やスタイリスト育成事業など、美容室がこれまで培った技術とノウハウを次世代に伝える取り組みをする例です。美容室の慢性的な人手不足を解消する効果が期待できます。このような取り組みは、新事業進出補助金の対象になる可能性が高いでしょう。
美容室が新事業進出補助金を活用する時の注意点とは?
美容室を営む事業者が新事業進出補助金を活用しようと考えている時には、以下の点に注意してください。
賃貸業は補助対象外になる
フリーランスの美容師に場所を提供するシェアサロンの運営を考えている方は、新事業進出補助金が賃貸業を対象としないことを知っておくべきです。シェア美容室をスタートする際に補助金を活用する場合には、単純に場所を貸すのみでなく、顧客管理など運営業務を事業者が行わなければいけません。
店舗数の拡大には補助金を使えない
単純に美容室の店舗数を増やすための取り組みには、新事業進出補助金を活用できない可能性が高いです。新事業進出補助金の目的は、新規事業の展開・拡大です。店舗数を増やすのみの事業では、新事業進出補助金に用意された要件をクリアできません。
まとめ:新事業進出補助金を美容室で活用するポイント
いかがでしたか?今回の内容としては、
・新事業進出補助金は美容室の新しいチャレンジにおすすめの制度
・新事業進出補助金では最大9,000万円の補助を受けられる
・新事業進出補助金はシェア美容室や訪問型の美容室の事業展開に使える可能性がある
・新事業進出補助金は賃貸業や店舗拡大には使えない
以上の点が重要なポイントでした。美容室の事業者が新しい事業展開を考えている時には、新事業進出補助金の活用を検討するべきでしょう。
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