モデルハウスは、住宅メーカーや工務店が自社商材を効果的にアピールするために有効です。モデルハウスがあれば、顧客に自社の住宅の優れた設備・機能・特徴を伝えやすくなるでしょう。
しかし、その建築費用は高額であり、モデルハウス建築のハードルが高いと感じる事業者の方もいます。今回の記事では、モデルハウスの建築に使える新事業進出補助金について詳しくまとめました。
補助金を活用してモデルハウス建築時の負担を少なくしたいと考えている方は、ぜひ参考にしてください。
新事業進出補助金とは?
まず、新事業進出補助金の基本的な情報を知りましょう。新事業進出補助金は、既存の事業とは異なる新市場・高付加価値事業への進出にかかる設備投資などを支援することで、中小企業が新規事業にチャレンジすることを応援します。
新事業進出補助金の補助金上限額と補助率
新事業進出補助金によって得られる補助金額は、従業員数により異なり、補助率は1/2です。
従業員数 |
補助金額 |
従業員数20人以下 |
750万円〜2,500万円(3,000万円) |
従業員数21〜51人 |
750万円〜4,000万円(5,000万円) |
従業員数51〜100人 |
750万円〜5,500万円(7,000万円) |
従業員数101人以上 |
750万円〜7,000万円(9,000万円) |
さらに、賃上げの特例が適用になる事業者は、()内の金額まで補助上限額が引き上げられます。
新事業進出補助金の補助対象区分とは?
新事業進出補助金は補助対象区分が多い補助金制度です。この章では、新事業進出補助金の補助対象区分について説明します。
機械装置・システム構築費
新事業進出補助金では、機械装置・システム構築費または建物費のどちらかを選択しなければいけません。機械装置・システム構築費は、補助事業のために使用される機械装置・工具・器具の購入や製作に必要な経費です。
また、専用ソフトウェア・情報システムなどの購入・構築・借用に要する費用も含まれます。
建物費
補助事業のために使用される施設の建築にかかる費用を指します。また、補助事業実施のために必要な建物の撤去費も建築費に含まれます。
運搬費
補助事業の遂行に必要な運搬料・郵送料・宅配にかかる経費です。ただし、購入する機械装置などの運搬費用は、機械装置・システム費に含まれます。
技術導入費
補助事業に必要な知的財産権などの導入にかかる費用です。他者から知的財産を取得する場合には、書面による契約を締結させなければいけません。
知的財産権等関連経費
補助事業の開発成果の事業化にあたり必要な特許権などの知的財産権取得に要する弁護士の手続き代行費用を指します。ただし、日本の特許庁に納付する手数料や拒絶査定に対する審判請求の経費は対象になりません。
外注費
補助事業を遂行するために欠かせない検査や加工などの一部の業務を外注する際に発生する経費です。
機械装置・システムなどの製作を外注する場合には、機械装置・システム構築費に計上します。
外注費は全体の経費の10%が上限です。
専門家経費
補助事業の遂行に必要な専門家に支払われる費用です。専門家経費は、専門家が必要である理由を事業計画書で説明しなければいけません。専門家経費の補助上限額は100万円までです。
クラウドサービス利用費
補助事業で使用するクラウドサービスに関する経費です。導入するクラウドサービスを自社の他の事業と共有する場合には、補助を受けられません。
広告宣伝・販売促進費
補助事業で提供する商材を消費者にアピールするためにかかる費用です。具体的には、パンフレットや動画などの媒体掲載以外に、プロモーションや展示会出演の経費も含まれます。
広告宣伝・販売促進費は金額に関わらず、複数社から集めた見積もりを提出し、価格の妥当性を確認できなければいけません。
新事業進出補助金はモデルハウス建築に活用できる?
モデルハウスを建築するために必要な費用は、新事業進出補助金の補助対象区分の建築費・外注費に分類できます。その経費ごとに、新事業進出補助金の対象になるのかを考えていきましょう。
建物費
モデルハウスを建築する時に必要な費用は、建物費として計上できます。ただし、改修工事ではなく新築物件の建設である事実を証明する「新築の必要性に関する説明書」の提出義務が生まれます。
なぜなら、新事業進出補助金の建物費の主な用途は、建物のリノベーションやリフォームだと考えられているためです。しかし、新築である必要性が考慮されれば、補助金の対象として認められるでしょう。
外注費
モデルハウス建築時に加工などの工程を外注する場合にかかる経費も、新事業進出補助金の補助を受けられます。ただし、新事業に必要な工程の全てを外注することはできません。
外注費の上限は、補助金額全体の10%までです。また、事業計画書には外注先の概要と選定理由を具体的にまとめる必要があります。
その他の経費
モデルハウス建築にかかるその他の経費にも、補助金の対象に含まれるものがある可能性が考えられます。先ほど紹介した新事業進出補助金の対象を十分理解し、対象に含まれる経費について考えてみてください。
新事業進出補助金をモデルハウスに活用するときの注意点とは?
新事業進出補助金を活用してモデルハウスを建築しようと考えている事業者の方は、以下の注意点を把握しておいてください。
建物・土地の取得費は補助の対象外
新事業進出補助金では、土地や建物の取得費が補助の対象外になります。そのため、モデルハウス建築時に新たに土地を購入した場合には、土地の購入費用の補助は受けられません。
建物費で申請した経費は減価償却期間内に処分できない
建物費として申請した経費の中で資産性を有し、税抜きで50万円以上の支出をしたものは、原則減価償却期間内は処分できない可能性があります。
それでも処分の必要がある時には、事務局に届出を提出して承認を得なければいけません。しかし、残存する減価償却分は国に補助金を返還する義務が発生するでしょう。
家具など汎用性が高いもの・自社の人件費は補助対象外
モデルハウス内に設置する家具などの汎用性が高いものは、新事業進出補助金の対象外になる可能性があります。そのため、対象経費に含まない方が良いでしょう。また、自社の人件費は補助対象外であることも知っておいてください。
まとめ:新事業進出補助金のモデルハウス建設活用のポイント
いかがでしたか?今回の内容としては、
・新事業進出補助金はモデルハウスに活用できる
・新事業進出補助金は土地・建物購入費は対象にならない
・新事業進出補助金ではモデルハウス建築時の外注費も対象になる
・新事業進出補助金を活用してモデルハウスを建築する際には、外注費の割合や減価償却前の売却・処分に注意する
以上の点が重要なポイントでした。新事業進出補助金はモデルハウス建築に活用できる補助金です。ただし、外注費の割合や減価償却前に売却・処分が難しいという注意点があることを知っておきましょう。
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