新事業進出補助金は、中小企業などが取り組む新事業や高付加価値事業への進出を後押しする制度です。補助金を活用した中小企業が、企業規模を拡大・付加価値を向上させて賃上げを実現することを目的としています。
この新事業進出補助金を使う時には、つなぎ融資が必要になる可能性もあります。この記事では、新事業進出補助金でつなぎ融資が必要になる理由をテーマにお届けしていきます。
新しいチャレンジを考えているけれど資金が足りないという事業主の方は、ぜひ参考にしてください。
新事業進出補助金につなぎ融資が必要になる場合も…?
早速、新事業進出補助金につなぎ融資が必要になる場合がある理由について見ていきましょう。
補助金が支給されるタイミングが事業完了後
補助金にはさまざまな種類がありますが、一部の補助金は対象事業が完了してから支給を受けることになります。新事業進出補助金の給付も事業完了後であるため、新事業に必要な経費は一度企業が支払わなければいけません。
具体的に、新事業進出補助金の給付を受ける時期の目安は、交付申請から1年半〜2年程度かかるとされています。つまりは、予算が不足している状態で補助金の採択を受けると、自己資金で新事業の経費を用意できない可能性があるということですね。そして、この際必要になるのが、つなぎ融資です。
つなぎ融資は一時的に資金を借りられる制度
つなぎ融資は、住宅ローンを組む時にも活用される融資であり、借入れや補助金でお金が手に入る予定があるものの、先に支払う必要がある経費のために使います。
借入期間が短く用途が限定されることで、比較的低金利で資金を得られるという特徴を持つ融資です。
補助金の採択を受けたけれど自己資金不足で計画を実行できないという企業は、つなぎ融資を活用すると良いでしょう。
新事業進出補助金が給付されるまでの流れとは?
新事業進出補助金は、事業完了後に給付されます。この章では、新事業進出補助金申請後の流れを紹介します。補助金を受け取れるタイミングを、具体的にイメージしてみてください。
1.補助金申請
公募要項を読み込み、必要な書類を集めて公募期間内に申請します。新事業進出補助金の申請には、Gビズプライムアカウントを作成する必要があるため、事前に用意しておきましょう。
2.採択結果の発表
採択結果は、新事業進出補助金の公式サイトで発表されます。不採用になった場合には、その理由を事務局に確認できます。
3.交付申請
新事業進出補助金の採択結果を受けて最初にする作業が、交付申請です。交付申請では、実際に必要になる経費の見積書などを提出しなければいけません。
4.補助事業を実施する
交付申請後に交付決定を受けてから、補助事業を実施します。この期間を「補助事業実施期間」と呼びます。補助事業実施期間は、交付決定から14ヶ月以内・採択決定から16ヶ月以内でなければいけないため、無理のないスケジュールを組んでください。
また、補助金申請時に提出した事業計画書通りに、事業を進めることも大切です。内容が異なる事業を実施した場合、補助金の返済を求められる可能性があるでしょう。
5.実施報告
補助事業が完了した後には、実施報告が必要です。実施報告では、申請済みの内容に基づいて事業が完了した事実を明らかにしなければいけません。具体的には、証拠書類・計画報告の資料を提出することになるでしょう。また、補助金の不正受給を防ぐ目的で、事務局が現地調査をするケースもあります。
6.補助金を受け取る
実績報告後は、実績報告で確定した金額が補助金として振り込まれます。この際に振り込まれる金額は、補助金申請時に希望した金額ではなく、実績報告で確定した額です。必要書類が用意できていない経費は、対象経費に含まれない可能性があります。
新事業進出補助金のつなぎ融資借入先とは?
新事業進出補助金のつなぎ融資を依頼する方法には、さまざまなものがあります。ここでは3つの方法を説明します。
メインバンクのつなぎ融資
つなぎ融資の依頼先としては、まずメインバンクが挙げられます。メインバンクであれば、過去の取引実績や信用情報をもとに柔軟な対応が期待できるほか、事前に大まかな融資枠を把握できるのも大きな利点です。
ただし、審査には一定の時間がかかるため、資金繰りに余裕を持った計画を立てる必要があります。万が一メインバンクでの融資が難しい場合には、他の金融機関や資金調達方法を検討する柔軟さも求められます。
日本政策金融公庫の国民生活事業
メインバンクでの融資が難しい場合には、日本政策金融公庫の国民生活事業に相談することを検討してみましょう。 国民生活事業は、個人事業主や小規模事業者を主な対象としており、補助金のつなぎ融資や運転資金など、幅広い資金ニーズに応じた融資を行っています。特に、1,000万円以下の比較的少額の融資であれば、柔軟かつ迅速な対応が期待できるのも大きな特徴です。
また、創業支援や経営改善など、事業者を総合的に支援する体制が整っているため、単なる資金調達の手段としてだけでなく、事業の成長を後押しするパートナーとしての役割も果たしています。 資金繰りに困ったときや新事業を始める際には、こうした公的な支援機関をうまく活用し、安心して事業運営を進めるための資金計画を立てることが大切です。
信用金庫のつなぎ融資
信用金庫は、地域に密着した金融機関として、補助金に関するつなぎ融資にも積極的に取り組んでいます。特に新事業進出補助金をはじめとした公的補助金の交付が決定してから実際の入金までの間に、必要となる資金を確保する手段として有効です。
補助金交付までの期間における資金繰りの不安を軽減するため、信用金庫では事業者のニーズに応じた柔軟な対応を行っていることが多いです。 ただし、融資の具体的な内容や条件、必要書類などは信用金庫ごとに異なる場合があるため、事前に利用を希望する信用金庫へ直接問い合わせることをおすすめします。
POファイナンスを活用する
POファイナンスは、受注発注情報や補助金交付決定通知を電子記録債権として登録し、それを担保に資金調達を行う仕組みです。決定情報を担保として活用することで、無担保での融資が可能になるケースもあります。
地方銀行を中心に導入が進んでいる比較的新しい融資制度で、補助金が実際に入金されるまでの資金繰りに役立ちます。資金調達に困った際には、POファイナンスの活用を検討してみるとよいでしょう。
つなぎ融資を使う時に知っておくべき注意点とは?
つなぎ融資を利用する時には、以下の注意点も把握しましょう。
補助金のスケジュールを確認しておく
新事業進出補助金の交付決定を受けて事業を実施しても、完了報告後の審査を済ませなければ補助金を受給できません。支払いから補助金給付までの期間に、数ヶ月〜1年以上時間がかかる可能性があります。
つなぎ融資は短期間の借入期間が設定されているケースが多いため、融資を受けてから補助金を受け取るまでのスケジュールを明確化しなければいけません。補助金が交付された後は、速やかにつなぎ融資を返済してください。
借入金額を増やし過ぎない
つなぎ融資は比較的低金利で融資を受けられますが、利息が発生します。そのため、交付される予定の補助金よりも多くの金額を借りるようなことは避け、必要最低限の融資を依頼するべきでしょう。多くの資金を借り入れるほど、利息も増えてしまいます。
まとめ:新事業進出補助金でつなぎ融資が必要になる理由や借入先などを紹介!
いかがでしたか?今回の内容としては、
・新事業進出補助金が給付されるのは補助事業が完了した後であるため、つなぎ融資が必要になる可能性も
・新事業進出補助金の受給額は申請時の金額ではなく実施報告時に確定した金額になる
・補助金受給までのつなぎ融資はメインバンクや信用金庫に依頼できる
・正しく補助金受給までのスケジュールを把握する必要がある
以上の点が重要なポイントでした。新事業進出補助金は中小企業の新しいチャレンジを後押しする制度ですが、対象事業完了後まで補助金を受け取れません。資金に余裕がない方は、つなぎ融資の活用を検討してください。
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