小規模事業者が安定的に経営を続けていくためには、時代の変化に合わせた販路の開拓や業務の効率化が欠かせません。こうした取り組みを後押しするために国が用意しているのが、「小規模事業者持続化補助金」です。この補助金制度では、事業者が自ら策定した経営計画に基づく取り組みに対して、経費の一部が補助されます。
中でも、ホームページやECサイトの制作は、販路拡大を目的とした代表的な活用方法の一つです。本記事では、小規模事業者持続化補助金を活用してホームページ制作やEC制作に使えるか?という点をテーマにお届けしていきますので、ぜひご覧ください。
小規模事業者持続化補助金はホームページ制作・ECサイト制作に使える?
結論から言って、小規模事業者持続化補助金は小規模事業者などがホームページ制作・ECサイト制作を行う際に使えます。注意するべき点として、補助対象になるためにはサイトが「販路開拓などにつながるホームページ・ECサイト」でなければいけません。
小規模事業者持続化補助金の対象になる可能性が高いサイトの種類・用途例は、以下を参考にしてください。
・商品の紹介・販売をするサイト(ECサイト):新規顧客を得るために役立つ
・予約システムを備えたサイト(美容室・整体院・飲食店など):業務効率化につながる
・ECサイト構築のシステム導入費(カート・決済機能など)
・サイト保守・運用費用
ただし、会社紹介のみの普通の名刺代わりのサイトは、販路開拓・業務効率化に直結しないことから、原則として対象外になります。
小規模事業者持続化補助金(一般型)の基本的な情報
小規模事業者持続化補助金を活用してホームページやECサイトを作りたいと考えている方は、まず制度について理解を深めましょう。
小規模事業者持続化補助金の補助対象
小規模事業者持続化補助金は以下の条件を全て満たす、日本国内にある小規模事業者と個人事業者のみが申請できます。
・小規模事業者または個人事業主である
・資本金または出資金が5億円以上の法人に直接または間接的に100%の株式を保有されていないこと(法人のみ)
・確定している直近過去3年分の各年または各事業年度の課税所得の年平均額が15億円を超えていないこと
・商工会議所の管轄地域内で事業を営んでいること
また、常時使用する従業員が、20名以下(宿泊業・娯楽業を除く商業・サービス業の場合は5名以下)でなければいけません。
個人事業主は商工会法で定めた「商工会者」に該当する方のみ申請可能です。
小規模事業者持続化補助金の対象外になる事業
小規模事業者持続化補助金は、以下の範囲で対象になりません。
・医師・歯科医師・助産師
・系統出荷による収入のみである個人農業者(個人の林業・水産業者も同様)
・協同組合等の組合(企業組合・協業組合を除く)
・一般社団法人・公益社団法人
・一般財団法人・公益財団法人
・医療法人
・宗教法人
・学校法人
・農事組合法人
・社会福祉法人
・申請時点で開業していない創業予定者
・任意団体
小規模事業者持続化補助金の補助上限額と補助率
小規模事業者持続化補助金の補助率は2/3(賃金引き上げ特例のうち赤字事業者は3/4)、補助上限額50万円です。
以下の特例を受けた場合は、補助上限額が上乗せされます。
・インボイス特例を受けた場合の補助上限額:100万円
・賃金引き上げ特例を受けた場合の補助上限額:200万円
・インボイス特例+賃金引き上げ特例の両方を受けた場合の補助上限額:250万円
小規模事業者持続化補助金の対象経費とは
小規模事業者持続化補助金の対象経費は、以下のように分類されます。ホームページ制作やECサイト制作が含まれる経費は、この中の「ウェブサイト関連費」に該当します。
機械装置等費
補助事業を行う目的で機械装置などを購入する経費です。通常の事業活動のための機械装置や、現在使用しているものを取り替える場合は補助対象外になります。
【対象になる経費の例】
・飲食店にて生産販売拡大を目的として購入する鍋・オーブン・冷蔵庫
・高齢者や乳幼児連れ家族の集客力向上のためのベビーチェアや高齢者向け椅子
広報費
パンフレット・ポスター・チラシなどを作成したり、広報媒体を活用したりする際に必要な経費を指します。ただし、ウェブ動画や街頭ビジョン広告にかかる経費はウェブサイト関連費として計上します。
【対象になる経費の例】
・新聞・雑誌に商品やサービスの広告を掲載
・チラシ・カタログの外注や発送
ウェブサイト関連費
販路開拓などを目的として作るホームページやECサイト、またはシステム開発・更新・運用に必要な経費です。
【対象になる経費の例】
・商品販売のためのサイト作成や更新
・インターネット広告
・効果や作業内容が明確なSEO対策
展示会等出展費
新商品などをPRするために、展示会や商談会に参加する際に必要な経費です。参加費のみでなく運搬費も対象になります。
【対象になる経費の例】
・展示会への出店料
・必要な場合は通訳・翻訳料
旅費
販路開拓などを行うために必要な旅費は対象に含まれます。ただし、事務局で人数や内容の妥当性を確認します。
【対象になる経費の例】
・展示会への出展などを目的とした宿泊費
・電車代・バス運賃・航空券代など
新商品開発費
新商品の試作品作成にかかる原材料・デザイン・加工などに支払われる経費を指します。補助事業終了時には、原材料などを使い切る必要があります。
【対象になる経費の例】
・新商品試作開発用の原材料購入
・新しいパッケージのデザイン費用
借料
補助事業に直接必要な機器・設備などのレンタル料・リース料です。補助を受ける際には、機器・設備が直接事業に関わりがあるという点を明らかにする必要があります。
【対象になる経費の例】
・新商品のPRを目的としたイベントを行うためのイベント会場レンタル費
委託・外注費
他の対象経費に該当せず、補助事業に必要な業務の一部を第三者に委託・外注する際にかかる経費です。ただし、事業者が自ら実行することが困難な業務に限ります。
【対象になる経費の例】
・新商品のデザイン料(事業者がデザイン業務を行っていない場合)
・店舗のバリアフリー化を目的とした改修工事
ホームページ制作・ECサイト制作のための小規模事業者持続化補助金を使う時の注意点とは?
ホームページ・ECサイト制作を目的として小規模事業者持続化補助金の申請をする際には、以下の注意点を知りましょう。
ウェブサイト関連のみの申請はできない
小規模事業者持続化補助金では、ウェブサイト関連費のみの申請を認めていません。つまり、ホームページやECサイトの制作費用に補助金を使いたい時には、他の経費項目と合わせて申請する必要があるのです。
例えば、ウェブサイト関連費+広報費(サイトの作成とチラシ作成を行う)などが代表的な組み合わせ事例です。
ウェブサイト関連費の上限は申請額の1/4まで
他の経費と組み合わせれば、ホームページ・ECサイトの制作費をウェブサイト関連費として申請できます。ただし、その上限額は補助金交付申請額の1/4かつ最大50万円でなければいけません。
まとめ:【2025年最新】小規模事業者持続化補助金はホームページ制作やEC制作に使える?
いかがでしたか?今回の内容としては、
・小規模事業者持続化補助金は小規模事業者などの持続性・効率化を支援する制度
・小規模事業者持続化補助金でホームページ・ECサイトを制作できるが条件がある
・小規模事業者持続化補助金のウェブサイト関連費は単独では申請できない
以上の点が重要なポイントでした。小規模事業者持続化補助金を活用してホームページ・ECサイトを制作することはできますが、この記事で紹介した注意点を必ず確認しておきましょう。
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